「疲れたけど、そんなこと言ってられない」や「忙しいけど、休むヒマがない」と言いながら活動することを優先する状況は、多くの方が経験されていることと思います。
このような状況は一時的には許されますが、これを常態化することは生物としてあってはならないのです。
先のウサギとチーターですが、彼らの攻防はせいぜい20~30秒程度です。
時速90㎞以上にも及ぶチーターの最高速度ですが、発揮できるのは僅かな時間だけです。
30秒以内に捕まえればチーターの勝ち。
逃げ切ればウサギの勝ち。
30秒の攻防後、近くにウサギが居てもチーターは追うことをしません。
それはなぜか?
彼らは意識的にそれを選択しているわけではないでしょうが、この過剰興奮が「一時的」に許されるものだからです。
つまり、チーターも「頑張った」後は「休んでる」わけです。
「そばにウサギがいるんだから、ちょっと頑張って追っかければ捕まえられるのに」なんて考える人もいるでしょう。
でもそれをすれば、自らの生存が危ぶまれることを生物は無意識下で理解しているのです。
そしてその機構は、我々人間にも備わっています。
では「休む」と言っても、どの様な休み方が必要なのでしょうか。
週末をゆっくり過ごしたり疲れた日は早めに寝るなどは、多くの方がされていることと思います。
また、近年では昼寝を推奨する学校や企業も増えてきました。
オリンピックに出場するようなアスリートなども、トレーニングの合間に昼寝をしますね。
これらの休み方は確かに必要ですし、有効な方法です。
ですが、当センターへ来られる方には「寝ても寝ても疲れが取れない」や「たくさん寝ても眠い」という方たちが居られます。
これは一体どういうことなのでしょうか。
多くの場合、強い抑制状態にあってその抑制信号がキャンセルされずにいると、その様になりやすいです。
でもこれらの人々は、ちゃんと寝ているのです。
では何が悪いのでしょうか。
休んではいるのだけれど、脳の状態に合った休み方ができていない、とでも言えば良いでしょうか。
と言いますのも、「無意識下」の脳に過去や未来はそれほど重要ではありません。
今、この瞬間こそが最も重要なのです。
つまり、「無意識下」の脳から抑制信号が出されたら、その場ですぐに従うことが必要なのです。
「疲れた」と感じたら、今すぐに休むことです。
この時、3秒間あたまの中を空っぽにしてみましょう。
「後で休もう」や「さっき休んだから大丈夫」、また「たくさん寝たから」は通用しません。
そして信号が出される度に従います。
信号は必ずしも「疲れ」として出されるだけではなく、「痛み」や「気力の減退」「頭が回らない・ボーっとする」「作業が進まない」など多岐にわたります。
それらは行動することに対して身体的・心理的に抵抗を感じるようなものが多いです。
朝起きてすぐに行動できない人や、日中に強い眠気に襲われる人もいると思います。
その場合、日頃の生活サイクルを見直す必要もあると思いますが、できたらその場で対応することは大変有効な方法です。
また、不安や気持ちの落ち込み、イライラするなど、おおよそ脳内セロトニンが減少した際に見られる症状も、この信号に付随して現れます。
そして「休む」ことと同じくらい大切なのは、「否定しない」「評価しない」ことなのです。